この比の花こそ初心と申す比なるを、極めたるやうに主の思ひて、早や、申樂にそばみたる輪説をし、至りたる風體をする事、あさましき事なり。たとひ、人も讃め、名人などに勝つとも、これは、一旦珍しき花なりと思ひ覺りて、いよいよ、物まねをも直(すぐ)にし定め、なほ、得たらん人に事を細かに問ひて、稽古をいや增しにすべし。
世阿弥 「風姿花伝」 第一年来稽古條條 『二十四、五』
この比の花こそ初心と申す比なるを、極めたるやうに主の思ひて、早や、申樂にそばみたる輪説をし、至りたる風體をする事、あさましき事なり。たとひ、人も讃め、名人などに勝つとも、これは、一旦珍しき花なりと思ひ覺りて、いよいよ、物まねをも直(すぐ)にし定め、なほ、得たらん人に事を細かに問ひて、稽古をいや增しにすべし。
世阿弥 「風姿花伝」 第一年来稽古條條 『二十四、五』